不動産競売について② 「新しい住居の確保の重要性」

 

前回は競売を回避する手段についてお話ししましたが、色々手を尽くしたけど競売を回避できない場合に考えておくことについて今回はお話します。

 

簡単に競売の流れを説明すると、

金融機関等から裁判所に対して競売開始申立てをします。申立て受けた裁判所は審理をした上で物件を差押えして競売開始決定がなされます。

その後裁判所は、不動産鑑定士に不動産の鑑定評価を依頼し入札の際の売却基準価格を決めます。価格が決まったら入札期間・開札期日・売却許可決定日等のスケジュールを確定し一般公開されます。

競売に参加する方は、その公開された情報を基に入札期間内に入札をして、最も高い価格で買受けを希望した方が最高価買受人となります。

最高価買受人は裁判所が指定する期日に代金を納付し、不動産の所有権移転登記がなされます。

これが競売の一連の流れです。この流れを踏まえて競売を回避できない場合に考えておいて欲しいことをご説明します。

 

裁判所の競売開始決定から最高価買受人の代金納付までの期間は概ね7カ月です。昨今のコロナの影響で鑑定評価等に時間が掛かっており長期化していますが、これからは処理スピードが上がることも想定し、約6カ月の間の対策・準備について参考にして頂けたらと思います。

 

競売を回避できない場合に考えること

①住居の確保

 「競売にかけられた場合、いつまで住んでいられるの?」というご質問を頂きますが、答えは「所有権移転の時まで」となります。

 最高価買受人が代金納付をすると同時に、所有権移転登記を裁判所が行います。よって代金納付と同時に最高価買受人に所有権が移ります。

 引越しせずにそのまま居座れば「無権限者が不法占拠している。」という状況となり強制執行の対象となりますので、早めに新しい住居を確保する

 ことが重要となります。

 

 もし新所有者からの退去の説得に応じずに居座れば強制執行に踏み切ることとなりますが、「強制執行までの間、タダで住んでいられる。」なんて

 安易に考えていると痛い目に合います。

 新所有者が強制執行を申立てるには費用が掛かります。例えば強制執行時に家具家財を一時保管する倉庫代やその移設費用等です。

 また強制執行が行われるまでの期間的損失があります。一体これは誰の負担でしょうか?

 当然、不法に占拠している強制執行対象者の負担です。新所有者は強制執行を申立する為に立替払いしているのであって、新所有者は不法占拠者に

 対して費用請求することが可能です。また、タダで住んでいると思っていてもその間の家賃相当額を請求することも可能です。

 

 「不法占拠した挙句に強制執行で家を叩き出され、後日費用請求される。」こんな悲惨な目に合う前に、行き先を見つけて引越す方が得策だと思い

 ますので、住居の確保は最優先事項として考えて頂きたいと思います。

 

 もし、本当に引越したくても引越せない事情があるのであれば、早めに新所有者に相談してみて下さい。新所有者によっては解決策を考えて頂ける

 場合もあります。 但し、相談の際に気を付けて頂きたいことがありますので、過去の経験を踏まえてお話します。

 

 新所有者に対して、家を乗っ取った悪者のような対応をする方がいらっしゃますが、それは間違っています。新所有者はルールに従って、裁判所か

 ら売り出されたものをただ単に購入した方に過ぎません。逆に、正当に対価を支払い購入したものを不法に占拠されて困っている「迷惑を掛けられ

 ている側」の方なのです。そこを履き違えて、失礼な対応や一方的な要求をするのでしたら、私なら一切の相談には応じずに一刻も早く強制執行を

 申立てます。

 ご自身が大変な状況は分かりますが、相手の立場も理解して友好的な話し合いが出来ないことには相談に乗ることもできませんのでご対応にご注意

 頂けたらと思います。誰もできることなら強制執行はしたくありません。お互いの立場や状況を理解し合い、友好的で建設的なお話合いができるの

 であればきっと新所有者は打開策を提案してくれると思います。ここは気を付けて頂きたいポイントです。

 

 

競売になったら住居の確保は最優先重要事項だと思います。

弊社は、競売後の住居確保が困難な方に対して、リースバック事業を展開しております。所有権移転後も賃料を支払って頂きそのまま自宅に住んで

いただけるシステムです。詳細は、ホームページをご覧下さい。もしお困りの方がいらっしゃいましたらお問合せ下さい。

 

 

次回は、「競売を回避できない場合に考えること②少しでも高く売るための努力」についてお話したいと思います。